越境ECとは?メリット・デメリットと始め方のポイントを分かりやすく解説
近年、インターネットの普及とグローバル化の進展に伴い、「越境EC」という言葉を耳にする機会が増えました。越境ECとは、国境を越えて行われる電子商取引、つまり海外の消費者に向けてオンラインで商品を販売することを指します。国内市場の成熟化が進む中、新たな販路として海外市場に目を向ける企業にとって、越境ECは非常に魅力的な選択肢となっています。
世界の越境EC市場は急速な成長を続けており、2021年には7850億米ドルだった市場規模が、2030年には7兆9380億米ドルに達すると予測されています。特に中国市場の規模は大きく、世界のEC市場の50%以上を占める巨大マーケットです。また、高品質な日本製品は海外でも評価が高く、大きな需要が見込める点も、日本企業にとって追い風と言えるでしょう。
本記事では、越境ECのメリット・デメリット、そして実際に始める際のポイントについて、分かりやすく解説していきます。
越境ECのメリットとは?海外市場への挑戦で得られるもの
越境ECに取り組むことで、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。主な利点を3つご紹介します。
- 新たな市場の開拓と顧客獲得: 国内市場だけではリーチできなかった、海外の膨大な数の潜在顧客にアプローチできます。これにより、売上拡大の大きなチャンスが生まれます。
- 比較的低コストでの海外進出: 海外に実店舗を構える場合と比較して、初期費用や運営コストを抑えながら海外展開をスタートできます。まずはスモールスタートで試してみたいという企業にも適しています。
- 日本製品の高い評価を活かせる: 「Made in Japan」の品質や信頼性は、海外の消費者にとって大きな魅力です。この強みを活かして、自社製品の価値を海外市場で高めることができます。
越境ECのデメリットと注意点。事前に知っておくべきこと
多くのメリットがある一方で、越境ECには特有の課題や注意点も存在します。事前にしっかりと把握し、対策を講じることが重要です。
- 言語・文化・商習慣への対応: 販売する国や地域の言語はもちろん、文化や商習慣の違いを理解し、適切に対応する必要があります。ウェブサイトの翻訳だけでなく、顧客対応やマーケティング戦略も現地のニーズに合わせることが求められます。
- 複雑な法律・規制・税制: 国ごとに異なる法律、規制、税制(関税など)を遵守しなければなりません。これらを怠ると、トラブルに発展する可能性もあるため、専門家のアドバイスも視野に入れましょう。
- 物流・配送コストとリードタイム: 海外への配送は、国内配送と比較してコストが高く、時間もかかります。また、配送中の紛失や破損といったリスクも考慮し、適切な配送方法や保険を選択する必要があります。
- 決済手段の多様性への対応: クレジットカード決済が主流とはいえ、国や地域によっては独自の決済手段が好まれる場合があります。ターゲットとする市場で一般的な決済方法を導入することが、購入率の向上につながります。
- 不正利用のリスク: クレジットカードの不正利用など、国内EC以上にセキュリティ対策が重要になります。
越境ECの始め方。主な出店方法と成功のポイント
では、実際に越境ECを始めるには、どのような方法があるのでしょうか。主な出店方法と、成功のためのポイントを解説します。
主な出店方法
- 自社ECサイトの構築・多言語化: 既に国内向けにECサイトを運営している場合、そのサイトを多言語・多通貨対応させ、海外発送の仕組みを整える方法です。デザインや機能を自由にカスタマイズできるメリットがありますが、集客は自力で行う必要があります。
- 海外ECモールへの出店: AmazonやeBay、中国のTmall Global(天猫国際)といった海外のECモールに出店する方法です。モールの集客力を活用できる点が大きなメリットですが、出店料や販売手数料がかかり、価格競争も激しくなりがちです。
- 越境EC対応のカートシステムやプラットフォームの利用: ShopifyやBASEなど、越境ECに必要な機能(多言語対応、海外決済、海外発送など)を標準で備えたサービスを利用する方法です。比較的簡単に越境ECを始められます。
成功のためのポイント
- ターゲット国・地域の選定と市場調査: 自社の商品やサービスが、どの国・地域で受け入れられるのか、競合はどうかなどを事前にしっかりと調査することが重要です。
- 魅力的な商品とローカライズされたコンテンツ: 商品の魅力はもちろん、ターゲット国の言語や文化に合わせた商品説明、キャッチコピー、画像などを用意し、顧客に響くコンテンツ作りを心がけましょう。
- 適切なプロモーション: ターゲット国のユーザーが利用するSNSや検索エンジンを把握し、効果的なプロモーション戦略を展開します。インフルエンサーマーケティングも有効な手段の一つです。
- 丁寧な顧客対応: 時差や言語の壁を乗り越え、問い合わせには迅速かつ丁寧に対応することが、顧客満足度と信頼の獲得につながります。
- 継続的な改善: 販売データや顧客からのフィードバックを分析し、常にサイトやサービス、マーケティング戦略を改善していく姿勢が大切です。
まとめ
越境ECは、日本企業にとって大きな成長の機会をもたらす可能性を秘めています。しかし、その成功には、メリット・デメリットを十分に理解し、周到な準備と戦略的な取り組みが不可欠です。本記事でご紹介したポイントを参考に、ぜひ海外市場への挑戦を検討してみてはいかがでしょうか。適切な準備と情熱をもって臨めば、きっと新たな道が開けるはずです。