トランプ氏の関税強化は越境ECにどう響く?日本企業が取るべき対策とは
2025年4月にトランプ前大統領が発表した「相互関税」政策は、世界の貿易環境に大きな変化をもたらす可能性を秘めており、特に越境EC事業者にとっては無視できない課題となっています。本記事では、トランプ氏の関税政策が越境ECに与える影響と、日本企業が取るべき対策について解説します。
トランプ政権の関税政策とは?越境ECへの影響を解説
トランプ氏が掲げる「相互関税」とは、アメリカが輸入するほぼ全ての製品に対して一律10%の関税を課すというものです。さらに、特定の国に対してはより高い税率が適用される可能性も示唆されています。
この政策が実行されれば、越境ECにおける商品価格の上昇は避けられません。関税分が価格に転嫁されることで、消費者の購入意欲が低下したり、場合によっては商品の受け取り拒否が発生したりするリスクも考えられます。
特に、これまで比較的低い関税率の恩恵を受けていた商品や、価格競争力で勝負してきた商品にとっては、大きな打撃となるでしょう。越境EC事業者にとっては、従来の価格戦略や販売戦略の見直しが急務となります。
日本企業への影響は?800ドル以下の免税措置が鍵
現時点では、日本からアメリカへ輸出される商品については、800ドル以下の場合に関税が免除される「デミニミスルール」が適用されています。そのため、多くの日本の越境EC事業者にとっては、直ちに大きな影響が出る可能性は低いと考えられます。
しかし、この免税措置が今後も見直される可能性はゼロではありません。トランプ政権の政策は予測不可能な側面も多く、常に最新の情報を注視し、変化に備えておく必要があります。
また、高額な商品を扱っている事業者や、今後の事業拡大で800ドルを超える商品を取り扱う可能性がある場合は、関税の影響を直接的に受けることになるため、より慎重な対応が求められます。
中国製品への影響とサプライチェーンへの懸念
今回の関税政策で特に大きな影響を受けると見られるのが中国です。中国製品に対しては、少額商品であっても免税措置が撤廃され、800ドルを超える高額商品については最大で39%もの追加関税が課される可能性が報じられています。
これは、中国から商品を仕入れて越境ECで販売している事業者にとっても他人事ではありません。仕入れコストの大幅な上昇は避けられず、利益率の低下や価格競争力の喪失につながる可能性があります。
サプライチェーン全体を見直し、調達先の多様化や、関税の影響を受けにくい国からの仕入れを検討する必要が出てくるでしょう。
越境EC事業者が今すぐ検討すべき対策
トランプ氏の関税政策という不確実性の高い状況において、越境EC事業者は以下の対策を検討することが重要です。
- 情報収集の徹底: 関税政策に関する最新情報を常に把握し、自社への影響を分析する。
- 価格戦略の見直し: 関税負担を価格に転嫁するのか、自社で吸収するのか、あるいは両者を組み合わせるのか、慎重な判断が求められます。
- 販路の多様化: アメリカ市場への依存度を下げ、他の国や地域への販路を積極的に開拓する。
- 独自性のある商品開発: 価格競争に巻き込まれないよう、付加価値の高い、独自性のある商品やサービスを提供することの重要性が増しています。
- サプライチェーンの再構築: 関税の影響を最小限に抑えるため、仕入れ先の見直しや、生産拠点の変更などを検討する。
- 専門家への相談: 国際貿易や関税に詳しい専門家に相談し、具体的な対策についてアドバイスを受けることも有効です。
トランプ氏の関税政策は、越境EC事業者にとって大きな試練となる可能性がありますが、変化を的確に捉え、迅速に対応することで、新たなビジネスチャンスを見出すことも可能です。常にアンテナを高く張り、柔軟な戦略でこの難局を乗り越えていきましょう。